2019年春、京都マーブル初の試みとして、NUNOと山下哲司氏にシルクストールのデザインをお願いしました。独創的な布地をつくり続けるNUNOさん、切り絵作家の山下さんとのコラボレーションは、京都マーブルにとって刺激的な経験でした。

今回のコラボレーションについて、お二人にお聞きしました。


NUNO 《C-ビル, カラーリング》

Q 今回のデザインのコンセプトについてお聞かせください。

A「C-ビル」

1920年代にスイス人が発明したと言われている「マーブルプリント」。その技法が生まれた頃の様式に「アール・デコ」があります。三角形や四角形など、単純な幾何学的形状で構成したデザイン様式で、今でも建築を始め、芸術・デザイン分野に採用され、スタンダートな様式として時代を超えて生きています。「C-ビル」と名付けたデザインは、ニューヨークのシンボルと言われる「クライスラービル」の頂上部の意匠をアイデアにデザインしています。

「カラー リング」

満天の星と、満月の前に大きな光の輪が生まれる「月暈つきがけ」をアイデアにデザインしたマーブルプリント地です。 独自の染色技法ならではのユニークな色の組み合わせとテクスチャーを持っています。無数の色の粒子が、それぞれ隣りあい、近づくことで、光の色のようなイメージが現れるようにデザインしました。最終的に光を黄色と限定し、黄色を引き立たせる青色との配色を選びました。


Q ストールの出来上がりをご覧になって、感想はいかがですか。

A 光を色で表すのは困難ですが、マーブルプリントを駆使するとそれが可能だということに気づきました。また染色方法としては、布地の平面上に色を配置するのですが、仕上がった面は立体的で奥行きが生まれます。かつ色と色の調和が生まれる、まさにこの技法ならではの特徴と思います。


Q 京都マーブルについてのご意見など

A スイスで誕生したマーブルプリント技法。今では、日本が誇り、未来に残したい職人技の一つになっています。今後は、日本の伝統技術として、その由来を知りつつ、衣生活、住生活に積極的に取り入れていけたら、と夢想しています。


◆NUNO

NUNOは、伝統と現代を紡ぎ、独自の布づくりをおこなっています。1984年の設立以来、日本各地に残る染織産地で新しい素材、技術を組み合わせ独創的な布地をつくり続けています。これまで制作した布地の数々は、世界各国の美術館に永久保存されています。


山下哲司 《Zoo, ジラフ》

Q 今回のデザインのコンセプトについてお聞かせください。

A 京都マーブルさん独特の手法と色柄がどのようにデザインとして溶け込むかを念頭 に、今まで手がけていらっしゃらなかった動物の形をテーマとして選び、原案を提出 させて頂きました。


Q ストールの出来上がりをご覧になって、感想はいかがですか。

A 想像を超えた色遣いとその独特の模様に興奮を覚えました。布自身が重なりあって生み出される”透け”による効果は実に面白く美しいです。あらためてデザイン案を採用させて頂いたことに感謝したく思います。


Q 京都マーブルについてのご意見など

A 京都マーブルさんのような素晴らしい匠の世界に少しでも貢献できたことを誇りに思います。ぜひこの美しい柄と匠の技を継承し世界へ発信して頂ければと思います。益々のご発展を心からお祈り申し上げます。


◆山下哲司

1968年静岡県生まれ。大学時にアフリカを訪れたことをきっかけに独自の貼り絵 制作を始める。仕事の傍ら制作を続け、2007年カンヌ国際展覧会での受賞を機に 作家活動を展開。オランダで「ペーパーキルト」とまで表現された、他に類を見ない そのユニークな手法は、東京やニューヨークでの個展・グループ展を通し国内外で発 表され、現在に至っている。近年ではワークショップにも力を入れており、美術館・ デパート等で開催されている。

テツジ山下公式サイト

http://tetsujiyamashita.com/

プロモーションビデオ

https://youtu.be/H4tG-SOuHQ8


NUNOのみなさま、山下さん、この度の企画にご協力いただき、まことにありがとうございました。おかげさまで、これまでになかった新しい世界を生み出すことができました。 京都マーブルはこれからも新しい挑戦をしてまいります。今後ともよろしくお願いいたします。

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